夢その2: ボツワナのカラハリ砂漠でマグロの解体ショーをする(後編)

前篇からの続きです!

 

大きな網がいけすの中に投入される。

マグロは自由を求めて暴れまわる。

ピチャ、ピチャとこぼれる海水。

地面に落ちると乾いた大地に一瞬で吸収され跡形もない。

やがてマグロが生け捕りにされた。

 

巨大なまな板の上にマグロが網ごと載せられる。

網を解くと同時に、今度は荒縄で板の上にマグロは縛り付けられる。

素晴らしいチームワークだ。

 

マグロは初めのうちはピチピチとヒレを動かしていたが、

水が無いのでそのうち大人しくなり、ピクピクして、やがて死んでしまった。

 

「これから、カラハリ砂漠でマグロの解体ショーを行います」

司会の女性がハキハキした声で開会を宣言した。

「まずは、開会のあいさつです。今日はこの日のために、

日本国から、「カラハリジャパン」代表の唐山にお越しいただきました。唐山さん、よろしくお願いいたします。」

 

こんな暑いと言うのにスーツにネクタイ姿の日本人男性が前に出る。

「ありがとうございます。ただいまご紹介預かりました、唐山と申します。

本日はこのような特別の日に、最高の晴天に恵まれたことに感謝致します。

私たちは、日本とカラハリの友好のしるしに、ここカラハリ砂漠で、日本の食文化の最高の極地である、

『マグロの解体ショー』をお届けしたいと思います。

さあ、マグロは鮮度が命です。私の話はこの辺にして、早速ショーを始めたいと思います。

どうぞ!!!」

 

その声とともに、トラックからさらに1人の男が飛び出した。

白衣にねじり鉢巻き、坊主頭が日差しを浴びてきらりと光る。

マグロの正面に体を構えると、手を会わせ、目を閉じ、マグロの命に祈りをささげる。

多くの観客も、見よう見まねで体の前に手を合わせて目を閉じる。

 

助手らしき男がやってきた。

うやうやしく両手で師匠へ白い布を献上する。

助手が布をはがし取ると、大きな包丁が師匠の両手に見えた。

大阪、堺の職人が丹精込めて打った最高級の包丁である。

その刃先は、どんなものでも切れそうなくらい鋭い。

 

師匠は包丁を右手に持ち、すぅ――っと深呼吸する。

まさにこれから、解体ショーが始まる。

 

その瞬間だった。

「はーんたい!はーんたい!マグロがかわいそう!」

群衆の声が後ろから聞こえてきた。

振り返ると沢山の旗がひらめいている。

黒字に白く染め抜かれて、魚と人間が手をつないでいる可愛いイラストがあしらわれている。

"Fish Friends Africa"(通称FFA)の方々である。

 

これまでも幾度となくFFAの方々とは意見を交換させてきた。

かわいいマグロを人前で解体するなんて野蛮で、非人道的だ!!

それが彼らの主張である。

確かに、彼らからみるとそうかも知れない。

しかし、それが日本の文化なのだ。

あなたたちだってゾウを解体してバーベキューにして楽しんでるじゃないか!

あんなかわいい動物を。

議論は平行線をたどり、時には感情的になったり、暴力の行使の一歩手前まで行ったことがあった。

しかし、私たちはそのような理由でこのイベントを中止することは無かった。

お互いの文化の違いを認め合おう!それが私たちが考える国際交流なのだ。

 

まっ黒の服に身を包み、目だし帽をかぶった一人の男が旗を振りながら猛烈にダッシュしてくる。

FFAの中でも最も過激と言われる一派の中心人物の一人だ。

観客をかき分けて特設ステージへ向けて走っていく!

ステージに上り、調理を阻止しようとする!

警備員3人がかりで抑え込まれるが、暴れまわってステージ上は騒然となる。

 

そんな中、調理士は平静を保っていた。

彼はかっと目を開くと腰を落とし、「たーーーっ!!」と垂直にジャンプする!

その高さ約2m!驚きのジャンプ力だ。

そして、落下する勢いを利用し、体もろともマグロに最初の一刃を入れる。

マグロは真っ二つになった。

ああ、、、と茫然となるFFAのスタッフたち。

ゲストの中にも、やはり目を覆う者、子供に目隠しする親、神に祈る者などが多くいた。

 

しかし、そのあとの調理士の見事な包丁さばきには、多くのゲストから拍手や称賛の声が上がったのだった。

 

「さあさあ、どうぞ召し上がってください。醤油のお皿お持ちですか?ワサビも付けてね。白いご飯もありますよ。お箸、使いにくければフォークでも結構ですよ。」

ステージ上にはすっかり解体されて、きれいな赤い刺身が並べられている。

唐山代表以下、村の方々を促してステージのほうに集めておもてなしをする。

村の人たちにとっては、そもそも魚を食べる機会がほとんどない。

そんな中、生身の魚を食べるなんて、異次元の体験である。

 

一人の女性が慣れない手つきで箸を持ち、一片の赤身をつかむ。

箸をそーっと持ち上げ、手元に持ってくると醤油に身を浸し、口を開けて舌の上に置く。

口を閉じ恐る恐る一噛み、二噛みする彼女。

反応はどうなのだろうか?私はまじまじと彼女を見つめていた。

ごくり、と喉を通し、熱いお茶を飲み干すと、彼女はにっこりと笑顔でこう言った。

「カトウ、美味しいわ!こんな美味しいものは初めて食べる!本当にありがとう!!」

私は笑顔で彼女をぎゅっと抱きしめた。

 

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加藤貴之 かとうたかゆき 1983年10月1日生
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